あなたは「芋粥」を食べますか?

芋粥」という芥川龍之介の著作がある。とても短いのだけど、いまでは聞き慣れない言葉が多くて、同時代の大衆小説のようには簡単に読めない。

が、ぜひ一読してほしい。

じわじわと考えさせられる。

 

あらすじをザッと。王朝政治のころ。 主人公の男はうだつの上がらない下級役人。年に一度、ほんのちょっぴりしか食べられない「芋粥」が好物で、いつか腹いっぱい食べたいと願っている。とあるきっかけから、目の前に大量の「芋粥」を差し出される事態に。けれども、どうしたことか、食べたくないのだ。生きる目標を失ってしまうようで。

 

生きるための目標にしてること。これを達成したら、人生の意味がなくなってしまうのではないか、と思うような大願。誰にでも心の奥に1つはあるのかもしれない。はたして、それを目前に差し出されたら、私は躊躇なくつかめるだろうか。

 

私も臆病者だった。できるだけ自分の「芋粥」を見ないようにしてきた。本当にしたいことをするのを恐れていた。七夕の短冊に一番の願い事を書けない。他人に見られたくないから。苦手だった読書感想文。山ほど本を読んでいても、好きな本に思っていることを書けなくて、大人が好むような本でありきたりの感想を書いた。否定されるのが怖いから。そのうちに自分の気持ちが現実からどんどん遠のいていった。気がついたときにはどうにもならなくなっていた。

 

……飽食の現代、食べたいものがわんさかある。願いごとも大小無数に湧いてきて、次から次へと叶えてもきっと尽きることはない。それでも、自分の「芋粥」を食べられる人がどれだけいるだろうか。

私はそのうちの一人になりたい。

 

 

純粋に恋がしたい

今週のお題「読書の秋」

こんばんは。

秋の夜長っていうけど、絶対冬のほうが夜は長いよね? まあ、でも冬ってなんもやる気おきんしなぁ……。

と1人で疑問を起こして即解決。

ひとり相撲が板についている私です。

 

私がおすすめするのは、児童書。というか、ヤングアダルトかな?

子供のころ読んだものの再読。

レーベルは青い鳥文庫なので子供向きですが、どうしてこれが深いのです。

クレヨン王国 月のたまご』シリーズ。 part8までと完結編があって合計9冊。でも、子供向きだから字も大きい。本が苦手な方でもサクサク読めちゃうんじゃないでしょうか。

 

私はいまpart5に心を預けています。

舞台はクレヨン王国という、私たちの日常から遠いようで近い、いわゆる異世界。そこではクレヨンや、カメレオン、ブタ、ニワトリ……とにかく何もかもが喋って、人格を持って暮らしている。

主人公のまゆみは、ひょんなことからその世界に入りこみ、「月のたまご」を救うための冒険をする。はたして「月のたまご」とはなにか、そしてまゆみにそれが救えるのか?!

 

的な話でございます。うーん、説明が下手で魅力を伝えられない……。

この物語、いま冒険譚のようにお伝えしましたが、主軸はなんといってもまゆみの恋物語。そのまっすぐさに、ああ、私もこんな恋をして、人を純粋に愛したかったはずなのに、どうしてこうなってしまったのか……。

見つめあうだけでお互いの愛が伝わって満たされる、そんな恋。

それが目標だったはずが……うーん、いまはもう更生したから、いっか!

そろそろ結婚したいなって思いはじめたので、自分の恋愛観を鍛え直すべく読み返しております。

 

戻りたいとも戻れるとも思っていないけど、一周したからこその良さがあると思うんです。

いろいろな本と並行しちゃってなかなか進まないけど

秋の間に読み終わりたいなぁ。

 

はじめにーとある夢の話

夢を見ました。

私は狂女で、なのに幸せでした。

幼児のように無邪気で、だからこそ狂っている。

精神病院に入院していて、親や恋人がいつもお見舞いにきてくれます。

好きな人に囲まれて、愛してもらえて幸せ。そんな日常。

それでも、やることがなく暇です。そんな私に院長が提案をしました。

「何か作品を作ってみよう。私たちはそれを3ペンスで買うよ」と。

私は、これでお金が稼げる。親に恩返しができる、と夢中になって絵を描きます。

(私は変だ。でもだからこそ、素晴らしい絵が描けるはずだ。私にしか描けない絵だから。きっと3ペンスってすごい大金なんだろう)

絵を描くことはもともと好きです。夢中になって描いていきました。そんな私を、親や恋人は優しい目で見つめます。私はますます、幸せな気分になりました。

 

という夢だったんです。客観的に考えたらけっこう不幸せな状況ですよね。入院するほど精神を病んで、きっともう外には出られない。

それなのに、起きたときの私は、すごく満たされた温かい気持ちでした。

愛する人に囲まれて、好きなことをする。それは何事にも変えがたい幸福なのかもしれません。

 

で、起きて調べてみたんですよ、3ペンスっていくらなのか。よく分からない単位を夢にだすなよ自分、と思いつつ。

そしたら、1ペニー(ペンスは複数形。単数だとペニー)=約2円。

3ペンスは6円ほどだったんです。

まさに二足三文。

私が一生懸命描いていた絵は、なんの足しにもならない、笑っちゃうような値がつけられていました。

 

それでも、私は幸せだった。

愛されて、好きなことをして。狂っていても、一生懸命描いた絵で3ペンスしかもらえなくても。

このブログも、私が一生懸命書いたところで、きっと大した価値はありません。

見てくれる人がずっといないかもしれない。それでも、自分が人生を楽しむためにやるんです。

たとえ、3ペンスの価値だとしても。

 

という訳で、はじめさせていただきます。よろしくお願いします。